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NIRS(ニルス)・近赤外分光法とは?

NIRS(近赤外分光法)の原理

NIRS(近赤外分光法)とは、近赤外線の光を利用して、脳や筋肉の血中のヘモグロビンの濃度の変化を測定し、血中の酸素化の状態や脳血流の変化を評価をするものです。これにより外部からの刺激や何か動作したときの脳の変化や運動に伴う各筋肉の状態の変化(疲労度や回復の程度)を非侵襲的に確認できます。

NIRSで使用する近赤外光には2つの特性があります。1つ目は、生体組織に対して高い透過性があります。2つ目は、近赤外線の光は、生体組織の中のヘモグロビンやミオグロビンなどに吸収される点です。(血液が赤いのは、この赤い光を吸収するためです)この2つ目の特性により、近赤外線のいくつかの異なる波長を使用することにより、ヘモグロビン濃度の相対的な変化を確認できます。( 生体組織内にあるヘモグロビン(Hb)は近赤外光を吸収する性質があり、また酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンでは近赤外光の波長によって吸収率が異なる特性があります。 )

NIRS(近赤外分光法)は、デューク大学のFransJöbsisin Science(1977)によって発表された論文から始まりました。この中でJöbsisは、近赤外線(700〜1300 nm)の光は生体組織を透過率が高いということを報告しています。したがって、生体組織へは十分な光を通せると考えられています。

上述したヘモグロビンの濃度の変化を求める際に利用されているのは、Lambert-Beerの法則です。Lambert-Beerの法則は以下のものです。

ODλは媒体の吸光度

I0は入射した光

Iは透過した光

ελはモル吸光係数(単位はµM-1•cm-1)

Cは光を吸収する物質の濃度(単位μM)

Lは光の入射した点と透過した点の間の距離(cm)

λは使用される光の波長(nm)

Lambert-Beerの法則は、透明で散乱のない媒体での使用を目的としています。光が散乱する媒体に適用された場合(下図参照)、たとえば生体組織には、無次元の光路長補正係数を組み込む必要があります。この値は、微分経路長因子(DPF:differential pathlength factor)と呼ばれることもあり、組織での散乱による光路長の増加率を説明します。散乱媒質の修正Lambert-Beerの法則は以下のものです。

ΔCは光を吸収する物質の濃度の変化

このODλは、組織における光の散乱と光の吸収による差(吸州の度合い)を表します。NIRSの測定中にODλが一定であると仮定すると、この吸光度の変化を濃度の変化として変換できます。この方程式は、吸収する組織が1つの媒体に対して有効です。これにより、一連の線形方程式が生成されます。この方法は、ほとんどのNIRSのシステムで採用されているアルゴリズムにつながります。光を散乱する媒体(生体組織)により、近赤外光の発光部とその受光部を同時に使用することにより、吸収量の変化を測定することができます

NIRSシステムで数値化しているものは?

NIRS(近赤外分光法)システムでは酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と非酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)とトータルヘモグロビン(totalHb)の相対的な変化を数値化します。

ヘモグロビン(Hb)は活性化すると酸素を取り込み酸化ヘモグロビンに変化する性質がありますので、その2つの変化量を【近赤外光を吸収する】という特性を利用し数値化しています。

NIRSシステムの計測方法

NIRSは近赤外光の発光部と受光部を肌組織に密着させて計測します。

Artinis社のNIRSシステムは脳活動計測以外にも筋活動計測デバイスもあり人体のあらゆる箇所を計測可能です。

※頭頂部のような髪がある範囲を計測する場合は髪を避けて頭皮にセンサーを密着させる必要があります。

発光部と受光部が太ももに密着した筋肉用NIRSデバイス
頭部に密着した脳機能マッピング用NIRSデバイスの発光部と受光部

NIRSシステムの活用分野

NIRSシステムで脳活動/筋活動を数値化するデバイスとして様々な分野でご使用されております。
PETやfMRIに比べより自然な状態(運動時など)で計測することができる利点があります。また、脳だけでなく、筋肉の酸素化の状態を計測することができるため、スポーツやリハビリテーションの分野では、運動やリハビリテーション後の回復度合いや疲労度の評価にも活用されています。

例えば運転手の感性評価やスポーツ活動中の疲労解析、幼児の直感的な脳活動観察など人間工学、心理学、スポーツ科学、認知科学、ニューロマーケティング、ブレインインターフェイスなど様々な分野でNIRSシステムは活躍しています。